
あること 🍎 ないこと
音になることで、りんごはここに在る
Apple³は、りんごという象徴を視覚・音・生命の三層で読み替える装置である。 回転台の上に配置されたりんごを、側面のレーザー網格がリアルタイムにスキャンし、形状と表面の視覚情報を取得する。そのデータを解析され、音高・音色・リズムなどに変換されてスピーカーから再生される。 会場には複数のりんごが並べられており、来場者は自由に入れ替えながら、果実ごとに異なる音の変化を体験できる。
エデンでは、それは罪だった。 神話では、欲望。北欧では、永遠。童話では、毒。祭りでは、祈り。 ひとつの果実が、数えきれない物語を抱えている。カメラが果点を“点”として読み取り、線と面へ展開し、形のリズムを抽出する。そのデータは音高やリズム、音色に変換され、りんごは音を放つ存在となる。 約250グラム──人間の心臓とほぼ同じ質量であるりんご。果実と身体が同じ重さを持つとき、両者の振動はひとつのリズムとして重なり合う。人はりんごを育て、りんごもまた人を育ててきた。