
あること ∵ ないこと
ないことが語る、あることの姿
これは現実に「あること」の中に、想像上の「ないこと」を見出そうとする実験である。 電車に乗って車窓を眺めると、建物の輪郭線の上を忍者が走る想像をしてしまう。そんな風に、身近な現象に対して架空のスイッチや外力を想像し、映像に書き加える。なんでもない日常の風景を積極的に誤読し、発見し、楽しもうとする、本当は皆が持っていた世界との向き合い方の再提案でもあるのだ。
単に私の想像した世界のスイッチを鑑賞者に提示するだけという形態をとる。ここに社会的な主義主張や問題提起は全くないが、本来存在しない法則をあたかも「ある」かのように示したこの映像を見た後では、街を歩くときに様々な法則を想像してしまうようになるだろう。これを面白がってくれる人とぜひ散歩をしたい。